しゃぶしゃぶのルーツはモンゴルにあり?日本発祥の歴史

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しゃぶしゃぶ

しゃぶしゃぶ、という名前の誕生

代表的な日本食のごちそう料理であるしゃぶしゃぶ。昆布でとっただし汁に薄くスライスした牛肉と野菜をくぐらせ、香り高い胡麻ダレかポン酢でいただく、極めてシンプルな鍋料理です。ご家庭で登場する機会も多く、「豚しゃぶ」や「ブリしゃぶ」、「タコしゃぶ」、「カニしゃぶ」など様々な食材を主役に、シーンや季節に合わせて楽しまれています。

これほど日本で愛されている鍋料理ですが、その歴史をたどってみると、一説には中国の鍋料理からヒントを得たといわれています。

第2次世界大戦中、鳥取県出身で民芸運動の指導者であった吉田璋也氏が、軍医として北京に赴任し、そこで出会ったのがしゃぶしゃぶの原型といわれている「涮羊肉」。シュワンヤンロウと読み、シュワンは「すすぐ」、ヤンロウは「羊肉」という意味で、薄くスライスした羊肉をスープにサッとくぐらせて食べる、北京名物の鍋料理です。

終戦後、帰国した吉田璋也氏は、親交のあった京都祇園の料亭・十二段家に涮羊肉の話をしました。そこで日本人好みにアレンジして考案されたのが「牛肉の水炊き」です。

この料理が評判になって関西に広がり、大阪の永楽町スエヒロ本店が「しゃぶしゃぶ」と命名しました。由来は、「従業員がおしぼりを洗う姿と牛肉を出汁にくぐらせる様子が似ていた」事から。聞こえてくる音そのままに「しゃぶしゃぶ」としたそうです。

当時、それを聞いた周りの人には笑われたそうですが、そのユニークな名前に興味を持った人が一度食べてみたいと足を運び、あっという間に長蛇の列ができる「しゃぶしゃぶの名店」となったということです。

美味しい、を追求すると新しい食文化が生まれる

ところで北京名物とされる「涮羊肉」ですが、さらに起源をたどればモンゴル帝国にたどり着く、という説も。およそ700年前、フビライ・ハンが戦地で羊肉を所望し、ゆっくりと食べる時間がない中、料理人が頭をひねって思い付いたのが、羊肉を薄切りにしてお湯にくぐらせるという方法。これをいたく気に入ったフビライ・ハンが、「涮羊肉」と名付け定着したという話です。

どれも諸説ありますが、食文化はその時の状況や発想で生まれ、伝えられた先でアレンジされて発展し、広がり定着するもの。どの時代にも、美味しいものへの追求心が新しい料理を生み出しています。ルーツをたどると興味深い物語に出会えるのが面白いですね。

ちなみにしゃぶしゃぶ鍋の中央に穴が開いている形状のものがありますが、これはかつてそこに炭を入れて鍋を熱していた名残りだそう。

いにしえに思いを馳せながら、ご自宅でしゃぶしゃぶを囲みませんか?


【参考URL】
https://ja.wikipedia.org/wiki/しゃぶしゃぶ
https://oggi.jp/6622857
https://hyoki.jp/blog_akasaka/しゃぶしゃぶの歴史/
https://www.umai.co.jp/nikuya/niku/resipe/chinasyabu.html
https://hyoki.jp/blog_akasaka/しゃぶしゃぶの歴史/
https://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/html/201802/201802_12_jp.html

中嶋 和義

中嶋 和義

代表取締役

株式会社ひょうたんや 取締役会長 趣味:ゴルフ、ウォーキング 和食を「時代に合わせて変化させる」ことを意識し、 ひょうたんやグループを展開